回転寿司を例にとり、日本以外の外国への出願先選びの重要性について解説します。#外国出願 #技術流出 #回転寿司 #特許庁 #模倣 #実用新案
約30年前ですが、ウエールズのある町のパブにカラオケの機械とゲームセンターで見かけるパックマンのゲームが置いてありました。そのほかに、今日では日本発で海外の大都市の生活に溶け込んでいるものに回転寿司があります。
回転寿司のコンベアーの最初の特許は元禄寿司さんの実用新案権です(下の図)。今日では、ロードサイドには複数のチェーン店が立ち、予約、持ち帰り自動受け渡し、タブレット式オーダー、回転しないコンベアなど、店内では数々の新技術(特許)が導入されました。核心部分の回転コンベヤー製造では、日本では、石野製作所が特許界では有名です。寿司チェーンの海外進出が進んでいますが、並行して回転させるためのコンベヤーなどの特許海外出願について調べてみました。欧州特許庁のデータベースで出願人にIshino Seisakushoを入力してみましたら、19件ヒットしました。それぞれの出願先は、米国13件、中国3件、韓国2件、香港1件でした。
この例ですと、例えば、大都市のあるイギリス、フランス、オーストラリアなどには特許出願されていないのでそれらの国では、優れた技術が自由に使えることになります。知らない間に海外で特許公報を通じて技術が拡散・利用していても、それを止めさせる法的手段がないことになります。もっとも、多くの外国で特許を取るとそれに比例してコストがかかりますので、どうしても出願先国は売上が期待できる数か国に絞られてしまうという事情があります。
今回は、たまたま回転寿司の「ネタ」が飛びつきやすいので一例として取り上げさせていただいたのですが、情報技術、化学、半導体などすべての技術分野で実は技術流出の一部はこうして合法的に起こっています。外国への出願先国についても真剣に選択することが必要です。なお、欧州特許庁のデータベースを利用した調査方法などのレッスンも弊所でオンラインで行っております。
・石野グループ 株式会社 石野製作所
・イギリスの有名回転寿司チェーン 「よー寿司」
・特許庁の公報動画 くら寿司の知財
図 元禄寿司の回転寿司 実用新案の一部 INPIT JplatPatより。公報の一部を抜粋。着色は弊所。
Comments